精神科医の“のほほん”ノート

診療に関係のあること、ないこと…ちょっと肩の力を抜いて“のほほん”と書いてます。

2004年

10月13日

(水曜日)

不登校の定義

「うちの子が不登校で心配なんです」と親御さんが相談に来られる。
もちろん、自分のこどもが学校に行かないとなると、たいていの親はとても心配するだろう。
でもお話を伺っていると、毎朝「学校行きたくない」とはいうものの欠席は今年度に入って3日だけ、などということも案外多かったりする。それって不登校なのかしら…?

それなら『不登校』の定義ってどうなってるの?という疑問がわいてきた。

調べてみたら、『年間30日以上の長期欠席者のうち、何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により登校しない、あるいはしたくてもできない状況にある状態』と1998年に当時の文部省が定義しているようだ(…もしかして、このあと定義が変わったりしてるのかな?)。

身体的要因で30日欠席しても不登校、ということは、本人は学校行く気満々なのに部活で大怪我をしたりして「1ヵ月は自宅で安静にするように」なんて言われたら、もう不登校ということになってしまう。こんな状況で「あーあ、これでキミは不登校だねぇ」なんて言われたらカチンときそうだ…たぶん誰もそんなこと言わないと思うけど。

逆に、いわゆる情緒的要因があったりして学校に行きづらい・行きたくないとしても、本当にしんどいとき月に1-2回休むだけだったり、教室には入れなくても保健室やふれあい教室になら登校できるのであれば、それは真の不登校ではない、ということになる。こちらのケースのほうが不当に不登校呼ばわりされたりして、さらに苦しくなっていたりすることが多いのかもしれない。

不登校、っていうとすぐに「心の病気だ」とか深刻なイメージに結びついてしまいがちだけど、意外と本当は不登校と呼ばれる筋合いのないひともたくさんいるし、仮に不登校に該当したとしても必ずしも暗〜い心の闇と結びついてるわけでもない、ということだ。
不登校を定義しなくちゃ統計の取りようもないお役所の事情もよくわかるけれど、所詮コトバの定義なんてその程度のこと。不登校というコトバのイメージがひとり歩きして、不登校と呼ばれることで余計にしんどい思いをするひとが増えなければいいなぁ、と思ってみたりする。

大事なことは「不登校かどうか」ってことじゃない。不登校でも、そうじゃなくても、つらい思いをしているひとがいるならお役に立てれば、これ以上嬉しいことはないんだけどな。

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